アニメヲススメ

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2015アニメ 下ネタという概念が存在しない退屈な世界 感想~下品な内容に隠された非常に硬派なテーマ

アニメレビュー第3弾は『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』。
※この記事はあにこれに投稿したものに加筆修正を施したものです。記事の内容には作品の核心に触れるネタバレの可能性があります。

私の大好きなラノベレーベルガガガ文庫原作のアニメ。序盤だけ原作既読。

BPOへやんわりと苦情が届けられた迷作

全力でバカをやる。という言葉を体現したアニメ。名指しこそされませんでしたがBPOにもちゃんと意見という名の苦情が来るぐらい尖ったアニメ作品。

ちなみに、その意見とは

深夜のアニメ番組で、音声加工はしてあるものの、性器の俗称を想像させるせりふや、性行為を意味するしぐさが使われていた。子どもでも想像がつくような露骨な表現であり、度が過ぎている。(BPO2015年7月に視聴者から寄せられた意見から抜粋)

深夜のアニメ番組のことを言っているのに子どもとわざわざ言及するあたりなんだかきな臭い意見ですね。このご家庭では深夜までお子さんは起きてらっしゃるのでしょうか?それとも、そんな実態はなくそれこそ想像でモノをおっしゃっているんでしょうか。

ところが、これを受けてなのか翌月にはこんな意見が掲載されます。

近年、特に深夜帯のアニメ番組で顕著だが、表現を自粛しすぎることで、本来の作品の魅力が落ちているように感じる。深夜帯の番組は子ども向けではない。子どもが見るのに適していないからといって規制を強化するのではなく、子どもの生活習慣を見直すことが大事なのではないか。(BPO2015年8月に視聴者から寄せられた意見から抜粋)

なにか、規制の声が上がればこのように揺り戻しのように反対意見が発生し、賛成反対ともに意見を交換しながら規制は厳しくなったり、緩和されたりするのが本来の民主主義の形ですね。

さて、この作品ではその「規制」が極端に強化された世界のお話です。(やっと本題に入りましたw)なぜ規制がこんなにも強化されたかはほとんど説明らしい説明はありませんでしたが、アンナ先輩のご両親の活動を見ていると規制を強化することで利権を手にするものがいるということが推察されます。ということは、規制強化が図られるタイミングで、何らかの世論誘導が行われて世の中が規制に傾いたのではないかと私は考えます。
その中で、SOXのメンバーは正しい性知識を広めるために下ネタテロを起こすのですが、活動する過程で主義主張の違う団体がSOXの名をかたり自分たちの意図とずれた形のテロを起こされるという。結構考えさせられるようなテーマを扱っています。
結局は、きれいごとに終わってしまうのですが、やはりその過程には注目するべきポイントは多かった気がします。

キャラベクター別に見るそれぞれの存在理由

奥間狸吉の存在理由

この作品で、ほぼ唯一の正しい性知識の持ち主。つまり、視聴者の代弁者ということが言えます。だから、彼が華城先輩にツッコミを入れるときに私は同じ気持ちになれて、深く感情移入することが出来ました。
それともう一つは、規制に意味がないことを彼は現しています。規制対象となる知識を豊富に持っていますが人間的にはいたってまじめ。この作品でかなり珍しい常識人の一人です。つまり、性知識と人間性にはこの作品内でも何ら因果関係がないことの証明役を担っているわけです。

アンナ先輩の存在理由

この作品世界における優等生が彼女。しかし、本来の常識人から見れば彼女はド変態の異常者です。ここが、狸吉との対比になるわけです。彼女の狂気は回を増すことにエスカレートします。個人的には狸吉が彼女のことを使いこなせれば世界を手中にすることも可能じゃないかとおもいます。まあ、絶倫じゃなきゃ体力が持たないか。

雪原の青の存在理由

SOXを立ち上げた張本人なわけですが、推測ですが最初は単なる好奇心から始めたことではないかと。つまり、性知識に貪欲な子どもみたいなものですね。だから、実際のモノを見ちゃうと途端に初心になっちゃうあたり、かわいいものです。卑猥なことをバンバンいちゃう彼女ですが、決して変態ではない。むしろ、自分の欲求に素直な変態(頂の白)のことは一切認めた居ないところにストイックさを感じます。
エロがテーマだけど変態アニメではない。この線引きをきちんと引けたのは彼女の存在のおかげでしょう。表現方法の違いはあれど変態度ならむしろ同クールの監獄○○のほうが一枚も二枚も上ですしね。

キャラ別にSOXの活動を掘り返してみましたが、いかにエロを叫びつつ硬派なテーマを扱うという二律背反な荒業をコントロールしていたかがこの構図からもわかります。

最後に

私的には、こういう作品があるからアニメ視聴はやめられないと実感した作品でもあります。実際、シナリオもキャラ設定も世界観もそれほど秀でているようには感じませんでした。正直、一発見たらそれで終わりとさえ思っていましたが。
しかし、テーマに気付いたころからどのような決着をつけるのか見届けたくなりました。ただの、バトルアニメなら11話で終わっていたことと思います。しかし、あの蛇足なように見える12話にこそ、この作品の本質があったんだなあと振り返ります。
偶然にも作品の放映時期と市民デモが盛り上がっている時期が重なりましたが、何のために何と闘うのか?充分考えるにふさわしい作品だと思います。
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