2006アニメ ひぐらしのなく頃に 感想 お盆の時期に見たい!ただ猟奇殺人を描いているわけではない。よく練られた名作
今回紹介するのはひぐらしのなく頃に。
大ヒット同人ゲーム原作のアニメ。原作プレイ済みです。
「正解率1%」「惨劇に挑め」といったキャッチフレーズで原作が発売されていました。
私はこの作品には漫画から入ったのですがアニメ第1期をみたのち、原作ゲームを最後までプレイし、第2期のアニメをみたという順番だったので大枠のストーリーは漫画で途中まで予習済みといったところです。
なぜ、このようなことを書くかというとアニメが初見な人とは全く違う印象をもつと思ったからです。
こういったことはどの作品にも当てはまりますが、この『ひぐらしのなく頃に』という作品に限ってはその衝撃度の違いが明らかだと思うので、書き留めておきます。
第1期では原作で出題編と呼ばれる4編の物語と、解答編のうち2編の物語までがアニメ化されました。
各章紹介
ここからはネタバレを多分に含みます。
出題編は、鬼隠し編、綿流し編、祟殺し編、暇潰し編の全4編。解答編は目明し編、罪滅し編の全2編です。
ここからは各編の印象について語っていきたいと思います。
・鬼隠し編
主人公前原圭一が雛見沢に引っ越してきて数か月たち親戚の不幸で一旦雛見沢を離れていたが、帰ってくるところから物語は始まります。
序盤は、世界観の説明や登場人物の紹介、分校での楽しい学校生活と日常系の雰囲気さえ感じさせますが、いったん圭一が疑心暗鬼を生じると途端に周りがみんな敵に見えるといったストーリー。
圭一の主観で物語が進んでいくため登場人物すべてが怪しく見えて、特にヒロインのレナの奇行がその思いに拍車をかけます。
オチを知っていてもこの演出は恐怖を感じさせるのには十分でした。
・綿流し編
前回あんな悲惨な事件が起きたばかりなのに、今度は最初のアバンから梨花が魅音の観ている前で包丁で自分の頭を刺すという衝撃シーンからスタート。
その後のAパートでは何事もなかったように日常回から始まるというのがこの作品の特徴の一つです。
さて、この章から部活メンバー魅音の双子の妹、詩音が登場します。
ちょっとだけ都会の興宮の学校に通っているという設定も相まって、この詩音が姉の魅音と違ってすごくヒロインらしく魅力的に見えます。
また、鬼隠し編でちらっと触れられた圭一が来る前に転校していった少年悟史について語られますね。
このようにこの物語では以前の章で簡単にしか触れられなかったことがのちの章でくわしく語られるということが多々あります。
この辺で慣れておくといいですね。
そして、この綿流し編も鬼隠し編同様雲行きが怪しくなってきます。
とくに、綿流し当日に祭具殿に忍び込んでからはガラッと様相が変わります。
もう終盤なんて双子についてはどっちがどっちだか全く分からなくなります。
・祟殺し編
この章のメインヒロインは沙都子ですね。
しかし、メインヒロインだからと言って幸せなわけではありません。
愛人がなくなったということで今まで面倒を見てくれなかった叔父さん(鉄平)が家に帰ってきてしまいます。
しかし、虐待されていることからこれまでの沙都子とは全く違う印象です。
この世界で圭一は鉄平を殺してしまうがなぜか死体が消えて鉄平は生きていることになっています。
そうしているうちに、梨花はなぜか惨殺されています。
そして、圭一が沙都子につり橋から突き落とされ病院で目を覚ますとなぜか雛見沢は災害で全滅してしまっているわ、もう不可解なことのオンパレードですね。
・暇潰し編
この章はいままでと違って圭一目線ではなく、公安の刑事赤坂が目線で進みます。
時間軸も今までの昭和58年ではなく昭和53年と今までと5年早い段階でのお話です。
ここでの、梨花は今までのかわいい面だけではなく、急に大人びた表情と声で赤坂に対して5年間の未来を予言するなど全くい違う一面を見せます。
前の話で衝撃的な梨花の死を体験しているので予言については結構ショックでしたね。
まさか自分の死まで言い当ててしまうとか、ちょっと怖くなってしまいました。
実際にはこの章がターニングポイントなんですよね。じっくり見てほしい部分ではあります。
・目明し編
ここから原作では解答編に当たります。
この目明し編は綿流し編で明かされなかったことが詳しく描かれています。
ここまで来るともうすでにお分かりのように完全にループものだということがわかるかと思います。
じゃあ、この章が綿流し編と全く同じものかというとちょっと違う箇所もあったり複雑ですよね。
この章では、詩音の心の動きを中心に物語が進んでいきます。
序盤は悟史君への切ない気持ち、後半はタガが外れて壊れていく姿が描かれています。
特にこの章の最終話で沙都子を拷問するシーンはものすごいものがあります。
ここでの最大の見どころは双子を利用した入れ替わりですね。
綿流し編でもどっちがどっちかわからなくなりましたが、この目明し編ではどっちなのかがきちんとわかるようになっています。
しかも、詩音が狂うきっかけが魅音に人形を上げなかったからとか・・・。もう、わけわかりません。
ただ、このストーリーを注意深く見ているとこの作品の真の姿が露わになります。
・罪滅し編
レナ目線で描かれるこの章は第1期のラストにふさわしい素晴らしい展開を見せてくれます。
レナの過去について断片的に語られてきていましたがついに詳しく描かれることになります。
特に最後に学校の屋上でレナと圭一とのバトルシーンがありますが、非常に熱い戦いですね。
しかも、別の世界の出来事を記憶している会話があるなど次の章へのつながりも意識されたシナリオですね。
多くを語るより見てほしい部分です。
最後に
全26話。非常にテンポも良く、適度に日常回も挟まるのでちょうどいい骨休めになります。
多少原作を端折っているところがありますが、これで正解だと思います。
キャスト陣も狂気あふれるセリフが多い中、熱演されているのも印象に残りました。
作画は粗いところがありますが、むしろより狂気が巧く演出されていたように感じます。
それに、この内容でほとんど規制なく描かれていることにちょっとびっくりしました。
2016年現在、かなりの作品でグロ黒祭り(グロシーンを黒く塗りつぶす私的造語です)が開催されているのを見ると当時かなり挑戦的な作品だったことがうかがえます。
その影響で、第2期では放送を打ち切る局が出るという弊害はありましたが。(アニメ規制に関してはまたどこかで持論を述べたいですね)
たいへん質の高い作品だと思います。是非とも見てほしい(子供は大人になってからね)作品の一つです。