2015アニメ パンチライン 感想~シナリオもキャラデザもクセがある。でも興味があるなら6話までは見て。
今回は、id:ishtalleのリクエストにお応えして「パンチライン」の感想記事。
2015ベストアニメをそろそろ決めよう 候補作品を紹介(オリジナルアニメ編) - アニメヲススメパンチラインのレビュー記事をぜひ! あんなにおもしろいのに、ネット上にちゃんとした感想がなくて、あまりにも寂しい。
2015/11/15 02:59
コメントどうもありがとうございます。
たくさんの皆さんに、はてブでたくさんコメントをいただいても上手くお返事できないんですが、せっかくリクエスト頂いたのでお応えしようと思います。
ノイタミナ枠で2015年春クールに放送されたオリジナルアニメ。
脚本の打越鋼太郎がもともとゲーム用として企画していたものみたいですね。
打越鋼太郎といえば「EVER17」などのゲームなどで一世を風靡した脚本家。私の中での期待値はとても高かったのですが、無事最終話まで完走しました。
ネタバレなし感想
まず、まだ見ていない人向けの感想を。
お気楽なネーミングと、かわいいキャラデザ。そして、なんとなくハーレムっぽい設定と最近のアニメにありがちな雰囲気を醸し出しています。
しかし、この作品の面白さを伝えようとすると確実にネタバレになってしまいます。なのでこの作品に興味があってこれからみるつもりなら、このブログをそっと閉じて、黙って本編を再生させましょう。
確実に言えることが、あるとすればいろんなものが裏切られます。これは、いい意味でも、悪い意味でも
あと、序盤が「ちょっと面白くないな」と感じても見続けることが出来るなら、ぜひ6話までは見てください。
切るかどうかの判断に6話までっていうのは長すぎるという人もいるかもしれませんが、そこまで見ないとこの作品面白さは伝わらないと思います。
ネタバレあり感想
序盤は作品の方向性が隠されていた
ここからが、見た人向けの感想になります。
序盤は正直低調な出だし。だと思ったんですが…。
まず、作品の全体像をつかむまでに少し時間がかかりました。
ギャグなのか?、SFなのか?、お色気なのか?、ラブコメなのか?、はたまたシリアスなのか?。
結果的にはすべてを内包した作品だったわけですが、「パンチライン」というタイトルからパンチラを連想しラブコメだと思った人は少なくないはず。実際、作品内でもそっち方面に誘導されていたわけですが、進むにつれて「なんか違う?」という違和感が・・・。
実は、この違和感こそ私に視聴を継続させたものと言えるでしょう。違和感の正体を解き明かすべく見続けていたらいつの間にかハマっていた。
昨今のアニメでは、「3話切り」「1話切り」という言葉に代表されるように、わかりやすくて面白い作品が求められます。しかし、この作品はそれらとは違った対極にあると思います。
キャッチ―な雰囲気こそ感じさせますが、シナリオとしては難解。ここに私は魅力を感じました。
衝撃の第6話
第6話の終盤でこの作品がタイムリープものだといきなり明かされます。
言われてみれば、なんとなくおかしな点が多すぎた。主人公の勇太が自分の肉体に戻れない謎。いきなり飛ぶ時間。怪しげなチラ之介の存在。思い返してみればいくつも思い当る節がある・・・。
放送当時、この衝撃の展開を受けてすごく興奮したのを今でも覚えています。
実際、6話を見た直後に1話からしっかり見直しています。
こうなったら、次週以降の展開が楽しみでしかないわけで、一週間が長かったなぁ。
中盤以降のチラ之介の扱いに息切れ感も
しかし、その興奮を維持できたのは9話目ぐらいまで。ループ2週目を存分に楽しんでいたわけですが、10話あたりをピークに徐々にクールダウンをしたというかなんというか…。面白かったんですけど、息切れ感が半端ない感じでした。
その最大の要因がチラ之介の扱い。チラ之介は勇太にとっての道先案内人であると同時に我々視聴者にとってもストーリーを案内してくれる役目を追っていたのですが、チラ之介の存在する意味が最後までしっくり来ませんでした。
特に、チラ之介の口癖「パッピーでピースフルな未来」は勇太や古来館のみんな、そして人類のモノであってチラ之介のモノではないと感じたんですよね。チラ之介のアドバイスの基準も良くわからなかったし…。
ラストカットに出てきたチラ之介の未来のためという理由付けはわからなくはないのですが、ではなぜ幽体となって過去に遡っているのか明かされていない謎が少し多すぎと思います。
ラストバトルは熱かったぜ!
ただ、古来館の面々によるラストバトルは熱かった。正直、戦力になりそうな みかたんも制限付きでしか能力を発揮できないという四面楚歌な状態でどう立ち向かうのか心配でしたが、いきなり作品が変わったのか?と感じさせるぐらいの展開にビックリ。
ラブラに憑依は予想できたんですが、愛がロボで戦うとは思いませんでした。引きこもってゲームしていた甲斐がありましたね。
あと、ラストの勇太の決断には恐れ入りました。そういうラストにするんだと、あらためて驚かされました。
全体を通して
ループモノとしては、先ほど上げたチラ之介の件と、あの現象を繰り返さなければならなくなったキッカケが明かされていないので満点は上げれませんね。
それでも、ループ設定回りがすごく雑に感じられた「失われた未来をもとめて」よりはましだったと思います。
やはりここでも、シュタゲのすごさが改めて浮き彫りになったと思いますw
ただ、全体と通してのストーリーはとても起伏に富んでいて面白かったです。特に6話以降の勇太2周目は伏線を丁寧に回収しながら、勇太独自の奮闘も伝わってきてとても面白かったです。伏線の明かし方はさすがの打越クオリティだと思います。
劇伴は小室哲哉さんが担当。台詞のないシーン(特に大晦日だよめかえもんのシーン)での古来館のみんなの楽しそうな画をバックに流れるTKサウンドはTK全盛期を経験している私にとってはドンピシャの感動ものでした。
劇中歌も非常に凝っていて、こういうアニメ業界以外のクリエイターを起用する姿勢はさすがノイタミナ枠だと感心します。
私としては、なんだかんだ言って大変面白かったと思います。
ただ、おすすめは?と聞かれて積極的に出すタイトルではないですね。やっぱり、シナリオもキャラデザもクセが強くて人に薦めても受け入れられないんじゃないかと思うんで。
打越シナリオは好きな人はもちろん、タイムリープものがお好きな人にはぜひ見てもらいたいですね。
でも、タイムリープものだよって決して言いたくはないなぁ。