2012アニメ Another 感想・アニメでも面白いホラーができることを証明した作品。
綾辻行人の推理小説が原作のアニメです。原作は未読ですが実写映画はアニメを見るより先に見ています。
実写映画版を先に見ているおかげでこの作品の肝になっている核心部分がわかっていながらの視聴となりました。
そのせいで、感想の大半が実写映画版との比較になってしまうことを先に謝っておきます。
また、今回の記事は作品中のネタバレが多く存在しますので注意を。
この作品は、是非ともネタバレなしの状態でフラットな気持ちで見ていただきたいものです。
ここから先をお読みになる方は、そのことをご了承ください。
Anotherの感想
さて、このAnotherという作品は、ニコニコのコメントでもおなじみの「Anotherなら死んでた」の元ネタにもなっているわけで。
それぐらいあっさり人が死にます。
フラグかなっと思ったらかなりの高確率で災厄にあいます。
死亡フラグをキッチリ回収するって演出はホラー映画では定番なんですが、アニメではあまり見たことがありませんね。
他にも、安心させたところでの衝撃シーンや不安感をあおる演出もツボにはまっていて、わかっているのにドキドキしてしまう。そんな作品ですね。
アニメ版を見てよくなった赤沢さんのイメージ
あと、赤沢さんのイメージがこちらのアニメ版を見てよくなりました。
映画版ではクラスを仕切っていてヒスをおこすいやなやつとしか見ていなかったのですが、こちらでは恒一との会話シーンが丁寧に描かれていたり、自分のミスも潔く認めるなど好感触なエピソードもそのことに貢献していると思います。
しかし、その責任感と鳴に対する思い込みが悲劇を引き込んでしまいました。少しでも彼女に恒一の話をきちんと聞く余裕があったならと悔やまれます。
アニメでこそ映える終盤の展開
終盤の殺し合いのシーンは圧巻でしたね。
映画版でもそれは同様に起きるのですが、こちらのほうが尺があるため、なぜ殺し合いが始まったかについてより丁寧に描かれていた印象があります。
そしてこちらのほうが殺害シーンがよりエグイうえに、精神的なダメージがあるものが多いです。
トリックの肝もアニメ版の方に軍配か?
三神怜子の叙述トリックはすごい出来栄えでしたね。
映画版では最初から同一の人物として描かれていたので、この作品の肝であるこのトリックを体感出来てとてもよかったです。
恒一と父親との電話でのやり取りや、怜子と松永の会話シーン、恒一と赤沢さんとの出会いなど様々な場面で核心を上手にぼやかしていました。
エンドロールも声優さんの名前を変える徹底ぶりには驚かされました。
どこかで惨劇を回避できなかったのか?
こんなに若者の死亡が相次いでいたらメディアで話題になっているだろ。とか設定的に細かいツッコミを入れたくなる箇所はあるものの、ストーリー展開にはすごく引き込まれるものがあります。
理不尽ともいえる死の連鎖があればみんな精神的におかしくなるもの。
最後の惨劇はなるべくして引き起こされたものとはいえ回避する手段がなかったのかなと考えてしまいます。
精神的に不安定な時期でもある思春期の学生にその冷静さを求めるのは酷なのかもしれませんが、この世界では大人も簡単にくるってしまいますから、この点から見てもやっぱり惨劇を回避できないんでしょうね。
なんとしてでも回避する手段を考えながら作品を鑑賞する癖は、ひぐらしのなく頃にのせいなんだと思う今日この頃です。
映画版との比較
ここまでは、アニメ版アゲの感じで記事を書いてきましたが、映画版が駄作ということではありません。
むしろ、こういったホラー・サスペンスの中ではよく出来ていると思います。
具体的に言うと、恒一と鳴が、いないものとして扱われているときの描写は映画ならではの見せ方があって好きです。
単純に比較するには、尺の違いもあるし、できる表現方法にもそれぞれ可能性がある一方制限もあるわけで、この作品に限ってみれば、それぞれお互いの良さが出たんじゃないかと思います。
最後に
アニメで、ホラーの名作ってあまりないなぁと思っていたので、この作品はピッタリとハマるんじゃないでしょうか。
アニメだと、おどおどロしい演出が現在のキャラデザでは難しいですからね。
むしろ、国産のホラー映画みたいに精神的に追い詰めていく形でのホラー表現ならまだ、可能性があることを示してくれたと思います。
楽しめた一作でした。
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