アニメヲススメ

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2012アニメ TARI TARI 感想~非常にレベルの高い青春アニメ

PAworksのオリジナルアニメ。

高校の合唱部を舞台にした青春ものです。

主要キャラといえる合唱部の所属メンバーは5人で男2人、女3人という黄金比率。

恋愛要素は皆無ではありませんがかなり薄く、むしろ、それぞれの成長の物語という側面が色濃いですね。

私的にすごくツボったのは第1話で声楽部が歌っていたtrue tearsの主題歌の合唱バージョンでした。

こういう細部に至ってファンを楽しませる姿勢はポイントが高いです。

合唱部がテーマとあってOPもEDも劇中歌もクオリティはかなりのものです。

あらすじ

江の島にある土産物店の一人娘、坂井和奏。弓道部に所属する沖田紗羽。そして紗羽の親友、宮本来夏。彼女達が通う白浜坂高校には普通科のほかに音楽科があり、歌うことが好きな来夏は普通科の生徒だが声楽部に所属していた。しかし1年前、合同発表会での出来事をきっかけに歌わせてもらえず、日々悩んでいた。ある日、意を決して顧問である教頭に想いを伝えるのだが……。和奏、紗羽、来夏、瑞々しい少女たちの高校生活最後の夏が始まる――。

アニメTARI TARI公式サイト 第1話あらすじから引用
http://taritari.jp/story/#story01


トピックス

ここからは気になった点を3点ほど取り上げて感想・考察を述べていきます。

かなりのネタバレを含みますので、ご了承ください。

・ヒロインの成長物語?

青春群像劇の要素が強いこの作品において、キャストトップを務める主人公は音楽科の学生だったが母を亡くしたことで音楽を離れ普通科に転科した坂井和奏なのですが、序盤から物語を引っ張るのはむしろ宮本小夏の方です。

最初は小夏が主人公だと思っていたのですが、中盤以降の和奏と母親とのエピソードや過去のトラウマを乗り越えて成長をする過程は和奏をやっぱり主人公と確信させるものでしたね。
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そして、和奏のエピソードと同じくらい紗羽についても掘り下げられていましたね。

進路の悩み、親子の確執など結構ボリュームもあったと思います。

この二人とは対照的に、物語のけん引役を担っていた小夏の成長エピソードが薄く見えてしまいます。

教頭や声楽部のメンバーとの確執を乗り越えていく姿は描かれていたものの成長の結果というよりは、状況の変化により周りが小夏のことをやっと理解したという印象なんですよね。

小夏の場合は成長の物語というより信用を取り戻す物語という見方のほうが正しいのかもしれません。


・白浜坂高校は教育機関として大丈夫?

教頭については終盤に人間味あふれる姿を見せたことによって好感度がアップしてしまいましたが本質的には教師としてどうかという行動が目立ちました。

たしかに小夏は大きな失敗かもしれませんがチャンスを与えず譜面めくりに干し続けるというのはやりすぎではないですかね。

その他にも重箱の隅をつついて目の敵にするというのもいただけません。

校長も小夏たち合唱部のメンバーにとってはいい教師だったかもしれませんが、そもそも合唱部の顧問になったのは和奏の名前を設立届けに見かけたためだったとか、日和見で文化祭中止の発表を遅らしてしまうところとかは大丈夫かと疑ってしまうレベルです。

理事長については作品を視聴済みの方はもはや何の説明もいらないくらいですね。

このような人物を理事長に据えてしまうことに問題があったと思うので、むしろ学園経営から撤退して高級老人施設でも設立するのはお似合いだと思います。

ただ、儲かれば何でもありという考え方のこのような人物では立てた施設も早晩つぶしてしまうかもしれません。

まあ、理事長と比べれば教頭・校長ともに教育者ですから終盤にはその力を存分に発揮する機会があるのが救いですね。

・現在の合唱部と過去の合唱部の対比

散々、前のトピックで教頭をディスっていたわけですが、教頭には教頭なりの理由があったことが後半徐々に明かされます。

合唱部から声楽部への名称変更。

それぞれの、親たちの過去エピソード。

一つ一つが、すべて合唱部という存在に手繰り寄せられていく。

そんなイメージをこの作品に持ちました。

そして、過去と現代二つの合唱部を上手く対比させながら、後半の盛り上がりを作っているなぁと。

具体的な、対比の構造的には、このようになるかと思います。

坂井和奏=坂井まひる(親子)
沖田紗羽=沖田志保 (親子)
宮本来夏=・・・・・

和奏と紗羽は母親が故人になっているかどうかを別としても、どちらも親から子へ受け継がれるDNAみたいなものが表現されています。

じゃあ、来夏は誰のDNAを受け継ぐのか?。

親が頻繁に登場する、沖田家と坂井家と違い宮本家の登場人物は弟の誠が中心。

でも、来夏には作品内で厳しく育ててもらった、あの教頭がいるのではないですかw。

そう考えると、理不尽なまでの来夏に対するあの仕打ちも、作品内での構成の一つだと思えば、なるほどなぁと思います。

そして、教頭自身も徐々に来夏を認め始めていたというところに、別のテーマがあったということ。

作品内に飛び込んだ際の教頭の行動に疑問があるという意見は曲げないつもりですが、全部見終わった後の感想でそれほど後味の悪さを感じないのは、そういったことにも起因するかもしれません。

最後に

全体を通しての感想ですが、作画のレベルも高くシナリオもすごく面白いと思います。

さすがクオリティに定評のあるPAの作品です。

青春を一点突破した作品として、多くの人に見てもらいたいなぁとおもう、お薦めの作品です。

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