アニメヲススメ

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2008アニメ true tears 感想~あにこれで出会った名作。青春ものとしてクオリティが高い。

この作品はとっても思い出深い作品です。

あにこれを始めて数か月たったころ。

グラスリップに高評価をつけた私に、あにこれのメッセでそれならばとおススメいただいたのがこの作品でした。

率直な感想として「胸を締め付けられる、記憶に刻まれた一作」となりました。

今回の記事は、視聴した人向けの記事になっていますのであしからず。


この作品の概要

この作品は、PAworksの初の元請作品です。

ジャンルは、今ではPAが一番得意としている部分である、青春もの。

主人公1人に対して3人のヒロインたち。

いわばハーレムものと言えなくもないんですが全くそのことを感じさせません。

ハーレムものはどうしても主人公が

「天然で気づかない」

「気づいているが気づいてないふりをする」

「気づいていて上手く立ち回ろうとする」

といった行動に出るのですが、この主人公は紆余曲折はありましたが最終的に結論を出すという、とても硬派な選択をしたため非常に好感度が高いです。

ヒロイン紹介。っていうか、感想

・石動乃絵

ヒロインの一人。

主人公の真一郎に心惹かれていく過程が詳細に描かれているため感情移入しやすく事実上のメインヒロインといっても差支えないと思います。

幼少期から兄に守られてきたことが語られてきて祖母が他界したことをきっかけに涙を流すことがなくなったとのこと。

その涙を取り戻すまでの過程が本作の最大のテーマといっていいと思います。

序盤に電波系キャラとして登場する彼女ですが私から見ると電波というよりは幼くて純粋というイメージのほうが強いですね。

特に兄の思考が常に乃絵中心で、その乃絵も自覚症状なしに真一郎を振り回す。

真一郎に告白された直後の恋愛感情に気付く描写などは本当に純情可憐ですね。

終盤における彼女の心の揺れ動きの描写は真に迫るものでした。

特に、絵本完成後の病院でのやり取りや砂浜で真一郎が紙飛行機にして飛ばした原稿を拾いに来るシーン、そして、真一郎との別れに至るまでの一連の流れは心を震わせるものがありました。

最終的には兄が旅立ち、真一郎のハートを射止めることが出来ずに終わってしまいましたが、そのかわりに涙を取り戻すことが出来ました。

これは真一郎や比呂美、そして兄の純との心のぶつかり合いの結果だと考えると表面的には悲しい結末になりましたが彼女の得たものはすごく大きかったのではないでしょうか。

・湯浅比呂美

ヒロインの一人。

よく虐待された子供は親になると虐待してしまう可能性が高くなるといわれますが、比呂美に関しても同居している真一郎の母からつらく当たられることと同様のセリフを乃絵に言ってしまう場面があります。

ただ、比呂美が救われているのはそのことに罪悪感を持っており、常に自分は醜く嫉妬しているという自覚があることです。

これが無自覚だったのならばいつまでも嫉妬の海におぼれていて最終的に真一郎に選んでもらうことはありえなかったと思います。

しかし、彼女はそのことを自覚しバイク事故以降は仲上家を出ることで自分を見つめなおす強さがありました。

個人的には比呂美推しですね。乃絵の天真爛漫な感じも好きではあるのですが比呂美の場合は影のある美しさですね。

それでいて終盤は凛とした美しさを見せてくれます。

お祭りでの和服姿は酒蔵の若女将の風格が出ていました。

真一郎には絵本作家との二足の草鞋でもいいので酒蔵を継いでほしいと勝手に妄想してしまいます。

・安藤愛子

中盤で真一郎争奪戦から脱落してしまうので終盤影が薄くなってしまうのでメインとは言えなくなるこの作品唯一のサブヒロイン。

乃絵や比呂美との絡みもほとんどありませんが真一郎にいきなりキスをすることで真一郎にリアルな恋愛を意識させるという重要な役割を担います。

三代吉との恋愛模様では愛子が真一郎に突然キスをしたりすることから悪者に見られがちですが私的には三代吉が愛子の話を聞かずに強引なシーンがたびたびありましたのでお互い様だと思うのですよね。


ただ、一旦別れてから冷却期間を置いてから再び友達から始めるという選択をした愛子には乃絵や比呂美とはまた違った強さがあると思います。

・その他の登場人物について

ヒロインについては前述した通りですがその他の登場人物も人間味があふれていてとても魅力的です。

特に真一郎の母は隠れたサブヒロインではないかと思うぐらいの重要な役回りを見せてくれます。

登場人物の総数があまり多くないのにも関わらずそれぞれを魅力的に見せるシナリオ構成は秀逸といえるでしょう。

作画について

作画も最近の作画のいい作品群と比べると若干見劣りするもののレベルが高いものになっていると思います。

当時ではトップクラスだったんじゃないでしょうか。

特に、背景が水彩画タッチで統一されていて非常に美しいです。

登場人物の心情に合わせているのもポイント高いです。

蛇足・・・グラスリップとの比較

チョットこれは脱線。グラスリップと比較した時の感想ですw。

私は先にグラスリップを見た口なので何とも言えないところもありますが、この作品のイメージを思い描いてからグラスリップを見るとあの酷評されているのも妙に納得してしまいます。

私的には似て非なるものという表現が一番しっくりきます。

この作品は恋愛を通じた各キャラクター(サブキャラ含む)の成長を丁寧に描いているのに対してグラスリップは恋愛を主軸にはおいているもののちょっと不思議が入り混じった日常の風景を切り取っているにすぎないので、この作品が頭にあると見誤りますよね。

また、演出面でもこの作品にも中盤から終盤にかけて多用されている止め絵の演出があちらでは濫用されています。

その他にも、キャラデザや作画の美しさなど共通点も少なくはありません。

ただ、似ていたら似ていたで二番煎じの評価は避けられませんからね。難しいところではあります。

最後に

総合的にレベルの高い作品だと思います。

いまでこそPAworksは作品の期待値が高い制作会社だと思いますが、会社設立直後から質の良い作品を輩出していたのですね。

普通にしていたら私はこの作品を見ることが出来なかったと思います。

そう考えるとこの作品と出会うきっかけになったあにこれと紹介してくれた方に感謝したいと思います。

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