2014アニメ 結城友奈は勇者である 感想~セカイ系の変身型ヒロインとしてなかなかの傑作
今回は、リアルタイムで見た作品の中で特に思い出深い作品を紹介します。
インパクトや考察の面白さは昨年のがっこうぐらしもすごかったですが、今回紹介する、結城友奈勇者である。も、それに負けないぐらい面白かった。
タカヒロ氏原案のオリジナルアニメ。
第1話冒頭では日常系アニメの雰囲気をかもしだしていますが、未確認生物来襲型アニメです。
途中までの設定、演出がまどマギに似ています。この結果、あにこれでもこの作品の評価もまどマギを基準にしている方が多いのではないでしょうか?
エヴァンゲリオン誕生から数年後、似たような世界観を有するアニメやラノベなどのサブカルチャーをひとくくりにしたセカイ系という言葉が2000年代前半に定着しました。
ざっくりいうと、「主人公の周りで起きる問題が、社会的な中間項をすっ飛ばして世界の命運を左右する大問題に直結する。」というようなテーマを扱った作品群のことと理解すればいいでしょうか。
具体例としては、エヴァンゲリオン。ラーゼフォン。まどマギ。涼宮ハルヒの憂鬱。少女革命ウテナ。etc。多くの作品があげられると思います。
そして、その中にはハルヒやまどマギなど大ヒットした作品も数多く含まれます。
そして、この「結城友奈は勇者である」もれっきとしたセカイ系アニメです。
勇者部の面々が神樹様に勇者として選ばれて樹海化した世界のなかで謎の敵バーテックスと戦うことになる。
戦わなければ世界が終ってしまう。これはもう、セカイ系アニメのど真ん中といってもいいのではないでしょうか。
ここらかは、トピックスを立てながら私なりにこの作品を考察したいと思います。
・大赦について
この作品のなかで大赦は、徹底して物語の表舞台には登場しない。
風や夏凛との連絡はすべてメールで行われているし、温泉旅行を用意した時も姿は現さなかった。
唯一姿が確認できたのは、東郷さんと友奈が前勇者乃木園子さんに呼ばれたときに乃木さん傍らで威圧していたあの人たちだけ。
徹底的に個性を消し、姿を現さないことで不気味で信頼のおけない印象を視聴者に与えるには十分な演出だったと思います。
さらに、終盤に行くにしたがって、満開の後の散華の詳細について語らない。
風先輩の満開の後遺症は治るのか?の質問にたいして徹底してはぐらかすなど意図的な情報隠しによって風や東郷は不信の思いが確信に変わっていきます。
しかし、大赦目線で考えると、風の質問にはぐらかしていたわけではなく勇者システムのバージョンアップによって後遺症の回復に一定のめどが立っていたとも考えられます。
その場合においても、説明不足だという批判は避けられないでしょうけどね。
・まどマギとの類似性について
放映時から、多くのレビューやサイトでこのことについては指摘されているところです。
実際にストーリー展開や演出面など、影響を受けたのではないかというところが散見されているのも事実です。
ただ、まどマギは魔法少女の末路はマミさん見たく殺されるか、サヤカみたいに絶望して魔女になって魔法少女に倒されるか。
つまり、死ぬしかないということにたいし、この作品の勇者はどれだけ体の機能を失っても精霊の力で生かされるというところが全く違います。
しかし、展開が類似していたせいでまどマギの二番煎じという批判と、まどマギ的なラストを期待していた人たちのがっかり感は半端ではなかったと思います。
このせいで当時は正当な評価を受けていなかったと思いますが、いまとなっては、結城友奈勇者であるという唯一無二の存在として、正当に評価されていると思います。
・最終回の賛否について
最終回についての賛否は前項でも触れたところですが、ご都合主義のハッピーエンドが原因です。
多くの人はそれまでの展開に対しどのように話を収めるかというところに注目が集まっていたのですからそう思われても致し方のない部分もありますね。
しかし、大赦のところでも述べましたが大赦目線で考えると勇者システムの改善のめどが立っていたという解釈もあると思います。
勇者部の面々だけが回復したわけではなく前の勇者だった乃木園子も回復したことが示唆されています。
また、東郷の反乱に対しても大赦は手を打てなかったのではなく、打たなかったとも考えられます。
第7話で東郷によってバーテックスは瀬戸内側から侵攻しない。
しかも、神樹様が意図的に結界に弱いところを作って通していると語られています。
ならば、東郷が反乱を起こし結界を壊してバーテックスを通したとしても、今の勇者部の面々。特に友奈は適性が高いことがわかっているため撃退できる見込みがあったため見逃していたのではないでしょうか。
友奈が失敗しても乃木園子というバックアップがいますし、園子としてもバーテックスを倒すのであれば東郷の味方でい続けることは可能です。
さらに、それまでひた隠しにしていた園子を東郷に再度面会させたことも意図的だったと考えられます。
わたしは、このことから単純なご都合主義という批判は当たらないと思っています。
ただ、説明不足気味なところが多くて、たくさんの人に共感されなかったことは非常に残念だと思います。
・演出面について
OPやEDの歌の内容や、夏凛登場までその存在を隠すこととか、序盤から不穏な雰囲気を見せていくこととか、制作側が大赦ばりの情報操作をしていく演出は圧巻でした。
これほどまでにリアルタイムで見て面白かった作品は他にはありません。
今回監督を務められた岸監督はどちらかというと『ペルソナ4』『ダンガンロンパ』『DEVIL SURVIVOR 2』などゲーム原作のアニメ化のうまい監督という印象を持っていたのですが、この作品は私の印象を打ち砕くには十分でした。(ちなみに、この直後『Angel Beats!』を見て私の持っていた印象が全くの的外れだということに気付くのですが…)
・最後に
あのエヴァンゲリオンも放映当初はかなりの議論を呼んだことを覚えています。
今みたいにネットが発達していなかったものの多数の考察本が出版されたことでもそのすごさが思い起こされます。
この『結城友奈は勇者である』が商業的な成功をおさめれるかどうかはわかりませんが、わたしとしてはこれだけ考察する余地があることで十分に楽しむことが出来ました。
この手のアニメが苦手な人もいるかもしれませんが、是非多くの人に見てもらいたい作品です。
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